長旅

長旅
お疲れさまでした。
今日の夕方おっちゃんが亡くなった。
正確には、おばあちゃんの弟で、昔は数学の先生をしていた。
私が高校生の時、波乗りのし過ぎで学校の授業についていけなくなった私は、おっちゃんの所に数学を習いに行った。
少し賢くなった私は、無事に高校を卒業出来た。
そんな頭の良いおっちゃんだったけど、最後に病院にお見舞いに行った時には、私の事を分かっているかどうかも分からなかった。
おっちゃんの奥さんであるおばちゃんは、昔は看護婦をしていて、私の小学校の予防接種の時にもよく来てくれていた。
低学年の時の私は泣き虫だったけど、注射の時におばちゃんの前で泣いたらおばあちゃんにバレると思って必死で我慢していた。
そんなしっかり者のおばちゃんでも、毎日電車とバスで病院に通い、付き添いずっと看病していて、大分疲れていたみたいだった。
最後に病院に行った時に、おばちゃんは私に「お見合い結婚したらアカンでー」と言った。
おばちゃんは、”好きな相手じゃないと毎日看病するのは大変やで”って言いたかったんやと思うけど、それはおっちゃんが死んでしまう事への悲しさを紛らわす為に、そう言ってごまかしてたんやと思った。
おばちゃんの顔があまりにも悲しそうだった、、
おばちゃんは、おっちゃんの事が好きなんやなーと思った。
おっちゃんが死んでしまったのは悲しいけど、おばちゃんが悲しんでる事の方が悲しいと思う。
でもそれは仕方ないし、お通夜の時に数学を教えてくれたおっちゃんに会ったら、”ありがとう”と”長旅お疲れ様でした”って言おうと思う。
 

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