さかのぼる事、半年前…バリ島で”革製品の制作”をしている友人のポップアップイベントへ行く為、横浜の中華街から程近い”山下町”という場所へ行った。町の所々に神戸の北野を思い出させる様な雰囲気…というのが第一印象だったけれど、元住人に聞くと治安が良いとは言えないらしい。でも私はその町の雰囲気を気に入った。 そのたまたま訪れた町で、たまたま入ってみた小さな中華料理屋さんで、たまたまオーダーした”本日のランチ”私はどちらかというとお任せよりも食べたいものを選ぶタイプなのだけれど、この日は極度の空腹状態だった事と、まだ6月だったというのに外が異様に暑くて思考回路が低下していた事もあり、一番早く出て来そうな”本日のランチ”を選んだ。そんな私の目の前に突然現れた”麻婆豆腐”こいつに私は心奪われる事になってしまった。 実は麻婆豆腐はそんなに好きな食べ物ではなかった。だから家で作ることもあまり無かったし、外食で頼むこともほぼ無く、ただ友人が頼んだ麻婆豆腐をつつかせて貰ったり、その程度だった。頼むと言えばエビチリとか、エビマヨとか、青椒肉絲あたりが定番だった。だから余計に、この日の空腹を埋める予定だったランチタイムに運命の出会いがあるとは思っても見なかった。本当に奇跡は突然やってくるものだ。 気がつくと運ばれて来た麻婆豆腐の皿は感動の後味を残しながら空になっていた。 友人のお皿のよだれ鶏のなんとかも既に空になっていた。 その日以来、私は外食で麻婆豆腐がありそうな店へ行く度に、麻婆豆腐をオーダーしてしまう様になった。そして、その自らのチョイスを後悔してしまう…やっぱり何かが違うと。それなのに、それでもあの味にたどり着きたいとまた何度も色んな店で麻婆豆腐を頼んでは後悔する…といった繰り返し。私は完全にあの日の麻婆豆腐に囚われてしまっていた。 そんな日々を繰り返す事半年間、私に遂にその日が訪れた!横浜へ行くという用事が出来たのだ。そこで私は帰り道のルートを変更し、山下町を経由する事にした。夢にまで見そうだった麻婆豆腐!それを若いお姉さんにオーダーして、ワクワクとドキドキを隠せないでいた所、奥から見覚えのあるおばちゃんが出て来て言った。「あなた、ここ来るの初めてじゃないねぇ」と。おばちゃんは、平日の昼間にふらっと来てふらっと去った主婦二人の事を、覚えていてくれた。しかも、半年も前の事なのに!!二度目の麻婆豆腐の感動も大きかったけれど、おばちゃんの記憶力にも大いに感動した。因みに、隣に運ばれてきた子供達用のラーメンも気がつくと空になり、おかわりまで注文する事になった。 そんな、麻婆豆腐に囚われていた話を地元に詳しそうな人にした所「あそこも有名」と教えてくれたのは、鎌倉”かかん”こちらはお店の看板メニューが麻婆豆腐という有名店だった。平日の昼間に店前に並ぶ事30分、冷奴の小鉢と、杏仁豆腐の小鉢が付いて来るだけあって、お豆腐専門店とも呼べそうなほどのクオリティーだった。 山下町、そして鎌倉、中華の数あるメニューの中でどのメニューもここまでの安定感を出している山下町”旭酒楼”も、麻婆豆腐に使うには勿体無いと思ってしまいそうなクオリティーのお豆腐で勝負している鎌倉”かかん”も、どちらもが感動の出会いでした。お値段はどちらも1200円程でした。この先もまた麻婆豆腐に囚われて、オーダーをし続けてしまうのか、それとも麻婆豆腐が食べたい時には思い切って電車を乗り継ぐのか、また別の何かに心奪われる様な出会いがあるのか分かりませんが、2023年も小さな幸せを探しながら生きていこうと思っています。 数年間も放置していたブログを再開したにも関わらず、なかなか更新出来ないままでしたが、相変わらず覗いて下さった方々がいて嬉しい限りです。来年もよろしくお願いします。良いお年をお迎え下さい♪
麻婆豆腐にとらわれていた日々…鎌倉 ”かかん” へ行って来た。

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